読んだきっかけは、もうじき映画版が公開されるから、だったと思う。その年に公開される映画の中で『Fried Green Tomatoes』が、なんとなく気に掛かっていたのだ。
テーマは、一応「女性の自立」のようだ。現代における主人公の主婦が、老人ホームで出会った老婦人の思い出話に関心を持つようになり、現代の話と回想シーンの連立でストーリーが展開していく。そのふたつの内容とは関係ないが、その当時の地方紙のコラムの抜粋や、街の住人たちのその後なども並行していく。必ずしも時系列にそって語られているわけではないので、読後に年表を自作してみた記憶がある。文章は、多分に、戯曲的というか映像的で、老婦人の回想の舞台となった街に行ってみたい衝動にかられた。
冒頭にも書いたとおり、この作品は映画化されている(キャシー・ベイツが主演だった)。物語のすべてをフォローしているわけではないが、作中のひとつの事件に焦点をあてて進行しており好感が持てた。映画としては、良い映画に仕上がっていると思う。でも、やはり原作にはかなわないとは、思う。