M.S.B.S. Ver. 5.4 について

 "ORATRIO TANGRAM"の戦闘も中盤に差し掛かると、各バーチャロイドの性能も大幅に見直され始め、すべての第二世代バーチャロイドに新型のVコンバータが起用され、OSも"M.S.B.S.Ver.5.4"にアップグレードされた(Dreamcast用に開発された"Ver.5.45"も存在するが、大きな差はないと考えてもらって差し支えない)。
 ここでは、Ver.5.4が稼動するまでに明らかになった公式設定などを踏まえつつ、主にM.S.B.S.Ver.5.2との大きな違いについて書かせてもらう。


■Ver.5.2からの変更点■

 新たに対戦バランスが見なおされた"Ver.5.4"だが、各武装の攻撃方法・効果だけにとどまらず、さまざまな点で"Ver.5.2"から変更が加えられている。

視覚的な変更

Vコンバータ
 これは重箱の隅なので、最初に書いてしまおう。各バーチャロイドの背中についているVコンバータ(Ver.3.3は旧セガサターン型、Ver.5.2では新セガサターン−いわゆるシロサターン−型だった)が、ドリームキャスト型に変更された。だからといってどうというわけではない。
バーチャロイドの型番号
 DNA-Sideのバーチャロイドが持つ型番号の第三節が最新のものに更新された。これにより、Ver.5.4が、Ver.5.2の単なるシステム的な続編だというだけではなく、世界観的にも続編であることが示された。なお、RNAにはこういった慣習がないからか、RNA-Sideのバーチャロイドの型番号は、Ver.5.2時のものと同じである。
Vアーマー残値
 画面右下の自機のVアーマー残値の下に、相手側のVアーマーの残値も表示されるようになった。これによって、お互いのVアーマー残値が対戦する上での重要な要素となった(実は5.2でも重要だったのだが)。事実上のシステム変更であるともいえる。

システム的な変更

各バーチャロイドの性能の変更
 バージョン更新となると真っ先に思いつく変更。各バーチャロイドの特性、移動スピード、各攻撃の弾数・効果・ホーミング性能・威力・エネルギーゲージの消費量など、すべてにおいて見なおされている。傾向としては「敵の攻撃をいかにして避けるか」が最重要事項だったVer.5.2からの逸脱、という方向性においての見なおし、と理解できる。
近接戦闘時の移動
 Ver.5.2では、ダブルロックオン状態になると、バーチャロイドの横移動が、相手バーチャロイドを中心とした軸移動になるという仕様を採用していた。しかし、わかりづらかったのか、あまり意味がないと判断したのか、この仕様はVer.5.4では廃止となった。
近接戦闘の重要性
 通常、しゃがみ、ターボ、クイックステップなどの各近接攻撃中にキャンセルをかけて、別の行動へ移行できるようになったことで、近接戦闘の攻防にバリエーションが増えた。むしろVer.3.3に近くなったというのが一般評だ。このことと、全体的なバーチャロイドの機動能力の低下により、より近接攻撃の重要性が増したといわれている。
「漕ぎ」の廃止
 一部のバーチャロイドにおいてのみ使用可能で、著しく起動性能を向上させていた「漕ぎ」という特殊操作は廃止された。
左ターボショットの位置付け
 Ver.5.2では、相手を転倒させるなど、攻撃のサポート的意味合いが大きかった左ターボ攻撃だが、Ver.5.4では、主に相手のVアーマー値を削る攻撃となった。これによって、Vアーマーの攻防を推進しようということのようだ。

その他の変更

バグの修正
 当然のことながら、Ver.5.2の幾つかのバグは修正された。そのため、システムの裏を書く技のいくつかはなくなってしまった。バグと仕様の境界線はあいまいだが、ようするにVer.5.2稼動開始時の段階で開発スタッフが想定しなかった技・状態(「無限ダガー」、「無限トンファー」、「ネット無敵」、「止まりバグ」など)は消えたということだろう。バルバドスの「鬼マイン」と呼ばれる特殊技は、一応、残されたようだ。

 以上の変更点から、導き出される結論は、「Vアーマーと近接戦闘も忘れないでね」ってことなんだろうね。


■バーチャロイド紹介■

 V.C.a2年に突如としてDNAの前に姿をあらわした対抗勢力RNA。RNAの所持するバーチャロイド群は、DNAの性能をはるかに凌駕するものだった。これを受けてDNAでも緊急に新型のバーチャロイドを開発。"ORATORIO TANGRAM"にいたる第二世代バーチャロイドの時代を迎える。

[参考]ドリームキャストマガジン:オラトリオ・タングラム啓発セミナー「真実の璧」

DNA-Side

 かつてのDN社の下部組織であったDNAが所持するバーチャロイド群。型番号が、戦術分類コード・開発ナンバー・型式の3節によって示される点は第一世代バーチャロイドと同様だが、第二節の上一桁が製造プラントを示すようになった。

SAV-326-D/9: VR.GRYS-VOK
多目的火力装備満載機体「グリスボック」。第3プラント「ムーニー・バレー」が提示した汎用バーチャロイド・ボック系列の標準機種。"VOK"と呼ばれる小型バーチャロイドに、実弾系火力ユニット"GRYS-UNIT"をマウントしている。
SAV-326-D型に比べ、D/9型はミサイルの誘導性能および弾速が向上している。また、中央のVOKのバルカンも用途によって使い分けられるようになった。
SGV-417-I: VR.ANGELAN
氷雪魔法系神聖機体「エンジェラン」。対アジム戦を想定して、第4プラント「TSCドランメン」が、プラジナー博士の開発したVR-017「アイス・ドール」を元に設計したレプリカ。人工Vクリスタルの力を引き出す「対偶の法杖」と呼ばれる杖を装備している。また、緊急時には翼を実体化させる「エクロージョン・モード」が発動する。
Ver.5.4を搭載したSGV-417-Iは、SGV-417-Lに比べ機動力が低下した反面、Vアーマーの性能が格段にあがっている。コンセプトは「鋼鉄の処女」ということらしい。
HBV-502-H8: VR.RAIDEN
高性能光学兵器装備重攻機体「ライデン」。第5プラント「デッドリー・ダッドリー」が開発したDNA-Sideとしては、初の第二世代バーチャロイド。バズーカ、グランド・ナパーム、肩部のレーザー・ユニットなど、HBV-05の設計コンセプトを、色濃く受け継いでいる。
HBV-502-H8は、HBV-502-Hの機動性能を改良した機体で、その反面、一部装備の火力が低下している。猛威を振るったグランド・ナパームからの炸裂弾も廉価版になったようだ。
MBV-707-G: VR.TEMJIN
高汎用性標準機体「テムジン」。第7プラント「リファレンス・ポイント」が満を持して完成させた主戦闘バーチャロイドで、第二世代バーチャロイドの中では最後発の部類に入る最新鋭機である。新型ランチャー「スライプナー」は用途に応じて、4形態(ライフル「ニュートラル・ランチャー」、レーザー「ラジカル・ザッパー」、ソード「ブリッツ・セイバー」、サーフボード「ブルー・スライダー」)に変形する。
左ターボ攻撃で相手を転倒させるなどのトリッキーな攻撃を持ったMBV-707-Fに比べ、よりスタンダード感がアップした機体となっている。
XBV-819-tr4 / tm2 / ts/b: VR.BAL-SERIES
難解系多機能型試作機体「バル・シリーズ」。第8プラント「フレッシュ・リフォー」が技術の粋を集めて開発した試作機で、4基のE.R.L.を制御する多彩な攻撃が特徴的。「バル・ユニット」と呼ばれる上半身に、二足歩行型下半身ユニットtr-bdsを装備したものを「バルバドス」、水中機動型下半身ユニットtm-brsを装備したものを「バルバロス」、C.I.S.航空型下半身ユニットts-krsを装備したものを「バルケロス」と呼ぶ。
Ver.5.2時に比べ、リングレーザーの相殺能力が向上、フローティングマインの誘導性能もあがっている。また、E.R.L.の表示が改良され見やすいものとなった。

RNA-Side

 RNAと名乗る謎の武装集団が所持していたバーチャロイド。型番号は「RVR-xx」という表記の仕方で、バージョンによる細かな区別はない。初期に製造されたRVR-14や、DNA-Sideのプラントから仕入れたRVR-75以外のバーチャロイドの頭部カメラに、並列双眼仕様を採用している点が興味深い。

RVR-14: VR.Fei-Yen Kn
高機動型可憐機体「フェイ・イェン・ザ・ナイト」。O.M.G.勃発直後、何者かの手によって第1プラント「ダンシング・アンダー」からSRV-14用のVコンバータが売却された。それを入手したRNAが、独自に解析し、開発した最初のバーチャロイド。オプションで実剣「愚者の慈愛」と封印環「賢者の盲愛」を装備している。
Ver.5.2からOSを5.4にバージョンアップさせたことによって、人為的にハイパー化現象を誘発できるようになった(任意にハイパー化する場合は、中央のスペシャルスイッチを押せば良い。その際はシールド残値が30%程度になってしまうが)。
RVR-33: VR.APHARMD S
超火力強化型機体「アファームド・ザ・ストライカー」。第二世代バーチャロイドと呼ばれるようになった最初のバーチャロイド「アファームド系列」の火力支援タイプで、左肩にグレネードキャノン、右腕にファニーランチャーを装備している。支援型といいながらも、ある程度以上の機動力を有しており、汎用性は高い。
Ver.5.4では、ファニーランチャーの弾数、グレネードの誘導性能などが向上しており、全体的にパワーアップしているといっていい。
RVR-39: VR.APHARMD B
超格闘対応機体「アファームド・ザ・バトラー」。ビームトンファーを装備しており、「アファームド系列」の中で最も、ベースとなったMBV-09を彷彿させる近接戦闘特化タイプ。意外なことに、さまざまなバリエーションが存在する同系列の機種の中では、最後発の部類に入る。
Ver.5.2に比べ、ビームトンファーの射程が伸び、さらに近接戦闘に特化した機体となった。
RVR-42: VR.CYPHER
高機動型可変機体「サイファー」。第6プラント「サッチェル・マウス」でアイザーマン博士とマシュー大佐がバイパー系列をテストヘッドに共同開発した機体。可変機構を有しており、状況に応じてバーチャロイド形態と航空機(モーター・スラッシャー)形態を使い分ける。通称「飛翔する殺意」。
RVR-68: VR.DORDRAY
超重装甲突撃型機体「ドルドレイ」。第2プラント「トランスヴァール」が第8プラント「フレッシュ・リフォー」より離脱し、RNAからの依頼を受けて開発した重戦闘バーチャロイド。常軌を逸するVアーマーの性能と装甲の厚さとが相乗効果を及ぼし、かなりの耐弾性能を誇る機体となっている。
RVR-75: VR.RAIDEN 2
高性能光学兵器装備重攻機体「ライデンII」。第5プラント「デッドリー・ダッドリー」は、第8プラント「リファレンス・ポイント」からの要請を無視し、独自のルートでRNAにもライデンを販売していた。このRNA側に売られ制式採用されたライデンを便宜上「ライデンII」と呼称することがあるが、性能的にはDNA側のHBV-502と変わらない。
RVR-87: VR.SPECINEFF
怨恨呪詛的暗殺機体「スペシネフ」。第6プラント「サッチェル・マウス」でアイザーマン博士が、アンベル4世の依頼を受けて開発した機体。パイロットの憎悪を増幅するEVLバインダーを装備し、M.S.B.S.の能力を飛躍的に上昇させている。過度の使用がパイロットの精神崩壊を導くので、「パイロット殺し」の異名を持つ。可変型の大型ランチャー「アイフリーサー」を装備。EVLバインダーとの連動で、敵のM.S.B.S.を無効化する。
Ver.5.4になり、EVLバインダーへのリミッターが強化されたのか、機動力が落ち、鎌から繰り出されるエネルギー派の誘導性能も劣化。Ver.5.2の頃の脅威はなりを潜めた。

Others

 DNAおよびRNAのバーチャロイドパイロットたちが遭遇することになるであろう、戦闘バーチャロイド以外の戦闘目標たち。様々な目的で製造され、存在しているこれらの機体も、広義では、Vプロジェクトの産物たる「バーチャロイド」のひとつと呼べるのかも知れない。

CVT-001: AJIM
超越系破綻機体「アジム」。突如として虚空より出現し、稼動中のバーチャロイドを好んで撃破する謎の結晶構造戦闘体。目的は不明。調査報告によると「アジムは、おそらく直接V-クリスタルを用いることによって実体化している。そのパワーは、VRのそれを遥かに凌駕し、遭遇したVRの殆どが確実に葬り去られている。これは人類の手による産物とは思われない。」とのことであるが、真実は明らかになっていない。
M.S.B.S.Ver.5.4を介してコントロールしようとすると、徐々にシールド残値が減っていき、80秒後には自壊してしまう。
CB-97: BRADTOS
幻像結晶拘束体「ブラットス」。第4プラント「TSCドランメン」が開発したアース・クリスタルの拘束システム。アース・クリスタルの周囲に、バーチャロン・ポジティブ値の高い適性者たちの精神を封じ込めた8つの人工Vクリスタルを配し、8つのVコンバータを組み込んだ構造体で封印した。しかし、8人の精神の怨念が、その構造体を危険な状態へ自己進化させてしまった。
9th PLANT final reacter: TANGRAM
時空因果律制御機構「タングラム」。アンベル4世、トリストラム・リフォーらによって、Vプロジェクトの最終目的として開発されていた究極のシステム。世界に起こりうるすべての事象、すなわち運命そのものを調律することが可能。システムの濫用を恐れたリリン・プラジナーは、タングラムに自我を与えて、彼(彼女)を電脳虚数空間へと逃走させた。「オラトリオ・タングラム」とは、このシステムをめぐって地球規模で行われる大戦役を指す。

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