-Game Review-

個人的趣味によるコンシューマゲームの紹介。"PLAY STATION"用ソフトがメインになってしまうのはご愛嬌ってことで。

『私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES』(プレイステーション)オススメ!

 アーケードから移植された3D対戦格闘アクション。基本的にこのコーナーでは、アーケードからの移植作品(たとえば「鉄拳」シリーズとか)を取り扱わないことにしているのだが、その「熱さ」に圧倒されて紹介することに決定。
 基本的にはアーケードからの忠実な移植。島本和彦デザインの熱血教師などのオリジナルキャラクターが増えているなどのおまけ要素もあるが、もともとのゲームが、イッちゃってるノリの設定と簡単で明快なシステムがマッチした良作だったために、特にこの辺りのことに関しては言及するまでもない。
 もちろん、ただの移植作品にとどまってはおらず、むしろ、アーケード版から対戦バランスを再調整したバージョンのディスクの方がメイン。しかも、ゲームの基本操作方法をプレイヤーに示しながら、自分だけのオリジナルキャラクターを「エディット」+「育成」させることができるモードをつけてしまっているから凄い。名前ばかりが先行してシステム的にもジャンル的にも確立していない「恋愛育成シミュレーションゲーム」以上のことをやっているのである。
 基本的にアーケードゲームからの移植作品の追加要素とか、格闘ゲームのおまけ要素などというものは「蛇足」であることが多い。プレイした内容がそのままゲーム本編に反映し、単体としても充分にゲームとして楽しめるものを提供できるというのは、なかなかできないことである。
 また、必要以上に登場人物たちのキャラクターが立ってしまったことが、結果として良い具合にゲーム内の雰囲気を盛り上げている。これは、嬉しい誤算であると思う。


『街 machi』(セガサターン)超オススメ!

 「弟切草」「かまいたちの夜」に続くチュンソフトのサウンドノベル第3弾。
 第3弾とはいっても、サウンドやグラフィックで演出された文章を読む、文章内の選択肢を選択して物語をすすめる、などの基本要素は踏襲しているものの、「弟切草」とも「かまいたち」とも性質を異にするゲームであるといえる。2匹目のどじょうを狙う他メーカーの追随を振り切って、新たなジャンルを開拓していく姿勢がとても好ましい。
 さて、内容だが、作中の10月11日10:00〜15日20:00の約5日間という限定された期間内に、渋谷という限定された空間の中で、「何時何分に誰がどこで何をしていて、そのとき誰はどこで何をしていた」という厳密なタイムテーブルを完成させていく作業が、もどかしくもあり楽しくもある(従って、本筋からあきらかに脱線してしまうと即ゲームオーバーとなってしまうのだが、仕方あるまい。逆に云うと、ゲームオーバーのバリエーションを探してみるのも、けっこう面白い)。デフォルトで用意されている8つのシナリオのひとつひとつも、多岐のジャンル(コメディ、ハードボイルド、暗号ミステリなど)にわたっていて、完成度も高く、なかなか楽しめる。

 余談だが、「街」の発売に先だってチュンソフトが、プリント倶楽部のシールによるエキストラ募集(応募されたプリクラのシールを取り込んで、ゲーム内に登場させようという企画)をしていた。KOTのプリクラも、ゲーム中のどこかで見ることができる…みたいだぞ(?)。


『風のクロノア door to phantomile』(プレイステーション)超オススメ

 ジャンルは、最近、めっきり少なくなったスーパーマリオ型の横スクロールアクション。フィールドにポリゴンを使ってはいるが、基本は2Dアクションである(疑似2Dとでもいうのか?)。体育会系な雰囲気を漂わせる「クラッシュバンディクー」シリーズに対して、こちらはキャラクターも可愛くストーリーもファンタジックで、ポスト「NiGHTS」といったところだろうか。こんな表現はしたくはないが、「マジカルホッパーズ」と「NiGHTS」を混ぜ合わせて蒸留した感じ、である。
 キャラクター(クロノア)にできる行動は限られていて、移動とジャンプのほかには、ほんの少しだけ滞空する、敵を捕まえる、捕まえた敵を投げるもしくは踏み台にする、だけである。これらの「一見自由だが実は制限された行動」を駆使して先に進まなければならないという、この手のアクションゲームのなかでも秀逸な出来で、ゲームバランスも微妙なところをついている。全体的な難易度は高くないがやりごたえは充分、という理想的なソフトである。
 ちなみに、ストーリーはというと、わりとありがちなのだが、たけうちは不覚にもラストシーンで泣いてしまった。ナムコの演出力には脱帽、といったところである。


『RUNABOUT』(プレイステーション)オススメ

 クライマックス制作の3Dドライブゲーム。ドライブゲームとしては、一見イロモノだが、じつはとてつもなく良質ソフトだと思う。
 ドライブゲームがポリゴンメインになってからは、ラップタイムなどを競ういわゆるレースゲームがメインになってしまったが、このゲームはどちらかというと「アウトラン」(セガ)の系列を受け継ぐ、純粋に走ることを楽しむためのゲームだといえる。
 衝突による街頭設置物の破壊ができることが特徴の一つのため、かなり大味なゲームに見えるかもしれないが、それはリアリティの新たな切り口とも考えられる。実際に、どこにもぶつけないで走る、などという楽しみ方もあるし、どこをとおってもいいので、ショートカットを探して楽しむこともできる。もちろん、ゴールを目指さないで、街をグルグル周り続けるのも楽しい。
 用意されている車種も豊富で、車の挙動ひとつひとつが違うところにこだわりが見られる。バックギアもあるので、切り返しなども感覚的につかみやすい。また、スクーターや戦車、ミニ四駆で走ることもできる。
 ただ、ネジコン対応のため、ノーマルのコントローラーでも決定ボタンが×ボタンで、キャンセルボタンが□ボタンになってしまうというプレイステーションのレースゲームのおきまりのキーアサインは、いつもながら納得がいかない。


『ARMORED CORE』(プレイステーション)超オススメ

 これは傑作。3Dロボットのシューティング…というより、ミッションクリア型のシミュレーターと言った方がいいかな。詳しい説明は他でしていると思うので、ここでは省くが、ここまで、ユーザーがロボットを作るならという、プレイヤーの視点を重視してくれるソフトも珍しい。
 個人的には、メールの受け取りや、ランキング、ミッションという要素だけで、充分プレイヤーの入りこめる世界観を表現できてしまうところが凄まじいと思う。実際、顔も知らない、ランキングだけでしかみたこともない他の傭兵(作中ではレイヴンという)に、初めてミッション内で敵として遭遇したときは、「手に汗」だった…とかね。

('97KOTオレゲー大賞)

『トバル2』(プレイステーション)オススメ

 多分、現在発売されている3D格闘ゲームのなかでは最高峰になると思う。
 前作「トバルNo.1」が、読み合い重視のリアル志向(つまりは渋いゲーム)だったため、地味な印象を受けるかもしれないが、さまざまな点で前作から改良されている。「続編」というのは、こうあるべきだろう。
 プレイステーションのパッドアサインに最適化された操作方法になっており、攻撃ボタンはパンチ・キックではなく上段・中段・下段、ジャンプやしゃがみをボタン操作にして軸移動を移動のメインにすえており、操作も楽で攻防が楽しい。動きもなめらかで、見ていて実に楽しい。
 難点をいくつか。クエストモードというモードがついているが、はっきりいって邪魔(それなりに楽しくはあるんだけどね)。それと、別にキャラクターデザインが鳥山明である必要性はなく、むしろ違う人を起用したほうが良かったのでは、と思う。オープニング、エンディング各種の美麗なムービーもあるが、特に内容に意味があるわけでもなく、センスのかけらも感じない。
 ま、その辺りを差し引いたとしても格闘ゲームとして超良質なので、かなりオススメ。


『パラッパラッパー』(プレイステーション)オススメ

 元PSY・Sの松浦雅也が総合プロデュースした、というだけで即買い。
 各面ごとの師匠のきざむお手本ラップにあわせて、リズミカルにボタンを叩いてラップを完成させる。こいつを初めて東京ゲームショウで見た時は、ボタンを押すだけなのにこんなに楽しいのはなぜ? と、正直ビビった。わかってもらえない人に説明しても、「だってあれって、ただボタン押すだけでしょ? 楽しいの?」と言われるが、そういう人は買わない方が吉です、はい。
 気軽に楽しめるソフトだが、プレイステーションのボタンの位置を覚えていない人にはつらいかも(結果、ボタン配列を覚える)。後半は難度が高くなるので、2曲目レベルの難度の曲をもう何曲か用意してほしかった。日本人が作ったはずなのに、ストーリーはアメリカン・ベタギャグってところも好感触。ロドニーの画風や、音楽スタイルが受けたのか、長い期間で売れたので、結果としてじわじわとヒット作品になった。


『NiGHTS』(セガサターン)オススメ

 セガの「ソニックチーム」が作成した類稀なゲーム。
 夢の世界の住人ナイツを操って、フィールド上に配置されたブルーチップを規定個数(20個)集めて、ゴールすればいいというシンプルな作り。アナログのマルチコントローラーの操作性のおかげもあるが、空を飛ぶナイツの浮遊感がよく表現されており、それだけで「飛んでる!」という感じがするので、操作するのがとても楽しい。また、世界観的にもストーリー的にもファンタジックで入りこみやすい。ナイツというキャラクターのシャープなラインが個人的には好き。ソニックとはまた違った魅力がある。


『ときめきメモリアル 〜forever with you〜』(PS/SS)超オススメ

 '94に発売された「ときめきメモリアル」(PCエンジン)の改良版。育成シミュレーションというジャンルのなかに、恋愛シミュレーションという金字塔を打ち建てた(SFC版「ときめきメモリアル〜伝説の樹の下で」というのもある、参考までに)。
 オール無名のキャストに、とりわけ上手いとも云えないキャラクターデザイン、それなのにプレイしてみると非常に面白い。よほどシステム面がしっかりしていないと、こうはいかない。実際、ゲームを進める上でのカギは女の子どうこうではなく、高校3年間をどのように過ごすかがメインになる。部活動に学園祭、修学旅行など、ノスタルジックな気分にさせられた。もちろん、少年まんが的な(少女まんが的な?)恥ずかしいセリフ空間の疑似体験も、程よくこっぱずかしくて良好。

('95KOTオレゲー大賞)

『海腹川背』(スーパーファミコン)オススメ

 「ラバーリングアクション」と銘打った独創的なアクションゲーム。
 プレイヤーキャラクター・川背さんの持つルアー付きのゴムを駆使して、フィールド内のゴールを目指して進むという、至極、基本的な面クリア型のアクションゲームだが、ゴムの伸縮や振り子の原理などを利用するため、大変、奥が深い。とっかかりは難しい印象を受けるが、慣れてくると様々なテクニックが使えるようになってしまうから不思議。開発者のアイディアの勝利だろう。
 意味不明のマップオブジェや、魚介類をモデルにした敵キャラなどの脈絡のなさがとても魅力的。


『かまいたちの夜』(スーパーファミコン)超オススメ

 チュンソフトのサウンドノベル第2弾。我孫子武丸による本格ミステリをサウンドノベルで楽しめる。前作「弟切草」と比べ、グラフィック、サウンドだけでなく、読み返しや章の途中から読み始めるなど、機能面でもかなり改良されている。
 シナリオそのものは読みやすく、面白い。取り込み画像によるペンション像や、シルエットで表現された登場人物像が、本文中の魅力的なキャラクターたちをうまく演出しており、そのためか、これをプレイした後、無性にスキーに行きたくなった記憶がある。
 テキストに関しては、テキトウに選択肢を選ぶことで偶然に正解にたどり着いてしまう、ということがないように、うまく選択肢の工夫がなされているし、ミステリである本編をクリアした後も、おまけシナリオが楽しめるようになるなど、エンタテイメント性は強い。

('94KOTオレゲー大賞)

『真女神転生』(スーパーファミコン)超オススメ

 ファミリーコンピューター用RPG「デジタルデビル物語 女神転生」の流れをくむ3Dダンジョンを基本としたRPG。敵キャラとして登場する悪魔との対話、捕獲、悪魔合体などがこのシリーズの売りとなっているが、それを抜きにしても、ストーリーが面白い。
 物語のテーマは日常からの逸脱。吉祥寺に住む青年が、荒唐無稽な物語に徐々に巻き込まれていく様が、よく描かれている。しかも、一見、一本道のストーリー展開に見えるが、プレイヤーが参加する余地が多分にある柔軟性に飛んだシナリオも好感触。シンジュクやシナガワ、ウエノなどのよく知った土地名や、程よく抽象的なグラフィックがいっそう気分を盛り上げてくれる。スーパーファミコン黎明期の傑作。

('92KOTオレゲー大賞)

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