CYBER TROOPERS VIRTUAL-ON ORATORIO TANGRAM

電弐號作戦観戦日記

去る1998年9月27日に「大田区産業プラザPIO」で開催された「電脳戦機バーチャロン オラ トリオ・タングラム全国大会'98/夏期特別戦闘指令/電弐號作戦」。
以下にそのレポートをまとめてみた。試合内容の記録としてではなく、一観客としての日記のつもりで書いたので(この日記の性質上、出場者のパイロットネームなども省かせていただいた)、できればそのつもりで読んでいただきたい。

 いよいよといった感じのオラタンの全国大会決勝。丁度一年前、「AMショー」に出展したオラタンを観るためにわざわざ有明の東京ビッグサイトまで(水上バスに揺られて)脚を運んだなぁ、とか、稼働開始は丁度半年前だったなぁ、とか感慨にふけってみたりもする。
 今大会、自分はというと、店舗予選で2回戦負けを喫してしまったわけだが、せっかく近場で開催するというのだから観にいかにゃ損々。前作の全国大会決勝戦「ファイナルミッション」開催時には、すでに心が「オラトリオ・タングラム」に移行していたので、観戦する気にすらならなかったのだが、今回はでしょう。

集合

 大学時代の後輩でスペシネフ乗りのYOM氏と、東急線の蒲田駅改札前に9時半頃の待ち合わせである。「頃」ってところがアバウトだが、夜型の我々にとって早すぎる時間なのだから仕方がない。前日は劇団の連中と飲み会だったし…。
 空はあいにくの雨模様。出かける前から挫けそうになるが、眠い目をこすってグリスボック乗りのERI君とともに目蒲線で蒲田へ。

大田区産業プラザPIO

 10時開場なのだが、この手のイベントは、大抵、「時間が押す」だろうということを考慮に入れて、カマック(蒲田駅のマクドナルド)でAM(朝マック)などをしながら、10時半頃にPIOに到着。蒲田駅から京急蒲田までは思ったより距離があって、一瞬、道に迷ったかと思ってしまったが杞憂だった。ホール入口でスタッフの人が、「電弐號作戦」ロゴ入り限定Tシャツとアンケート用紙を配っていたので、有り難く頂戴する。ホール正面の大プロジェクタを観れば、丁度、選手紹介が始まるところ。タイミングぴったりである。
 入り口付近では大会限定販売のグッズ売場やフリープレイのゲームの前に長蛇の列。あらかじめ仕入れた情報ではオラタン限定プリクラなんかもあるらしいので、第一回戦の様子はモニターで適当に眺めながら、あちこち回って歩くことにする。適当に会場内を歩いていると、スタッフの方がペプシをくれた。さすが、大会のスポンサーがペプシ(正確にはサントリーフーズ株式会社)なだけはある。有り難く頂戴して、有り難く飲む。

パイロット

 出場者は、前作大会の上位入賞者のシード出場も含めて66人(実際は65人)。内訳は、テムジン:5機、ライデン:2機、フェイ・イェンKn:3機、エンジェラン:15機、スペシネフ:7機、ドルドレイ:13機、アファームドB:6機(実際は5機)、アファームドS:1機、バルシリーズ:8機、サイファー:5機、グリスボック:1機である(「セガサターンマガジン」による)。ちょっとバランスが悪いかなぁ、とも思うが、一応、全機種そろっているのでよしとする。

これぞイベント

 入口でもらったアンケート用紙の必要項目に記入してスタッフに渡すと、ポスタードリーム用のオラタンポスター(貴重)がもらえるということで、早速アンケートに記入する。戴いたポスターは、「フェイ・イェン・ザ・タイガー」! しかも、和紙バージョン(レアもの)。つい「いらねー」と叫んでしまったら、欲しいという方があらわれたので、適当なポスターと交換する。やはり、レアものというヤツは必要な人のところに納まってこそ価値が出るというもの。大事にしてやってください。
 そんなことをしている間に決勝トーナメント第一回戦が始まる。こちらは目的のひとつでもある「プリント倶楽部2オラタンバージョン」の列に並ぶ。ERI君が「グリスボックのフレームあるかな?」と心配そうにしていたが、それは大丈夫。
 第一回戦は、4試合ずつ8回に分けて行なわれる。正面のプロジェクタには、4画面が同時進行で表示されるので、プリクラの列に並びながら、4画面のうちのひとつに焦点を絞って観戦することにする。
 傾向として、出場者数が多くて個人的にも苦手なエンジェランよりも、数の少ない機体を応援してしまう。1機ずつしか参戦していないグリスボックやアファームドS、そして何より、2機のライデンに自然と目がいく。だが、第一回戦のうちに、2機のライデンのうちの片割れと、1機しかいないグリスボックは消えてしまう。予想の範囲内だが、ちと淋しい。しかし、たった1機のみの出場だったアファームドSが健闘していて、周囲の注目を浴びていたのは、せめてもの救い。

グッズの山

 グッズ売場へ行くと、先程までの行列が嘘のように空いている。以前からERI君が、ゲームセンターなどに貼ってあるオフィシャルポスターを欲しがっていたので、白黒両バージョンを購入。ついでに、YOM君と一緒に携帯電話用のオラタンストラップも購入。…騙されてる? 踊らされてる? まあいいか。
 モニター上では第2回戦、第3回戦と試合は進み、ベスト8が決定する。あれだけたくさんいたはずのエンジェランは淘汰され、ベスト8に残ったのは1機のみ。ドルドレイにいたってはベスト8に1機も残らなかった。上位入賞者はそれだけエンジェランやドルドレイ対策が出来上がっているということか。試合全般的に云えることだが、やはり回避が重要だということ。特に上級者同志の対戦ではなおさら。さまざまな攻撃テクニックよりもやはり回避に重点を置くべきだろう。
 ベスト8が決定した時点で約20分間の休憩。モニター上ではひたすら「ペプシマン」と「湯川専務」のCMが流れ続けていた。

ここからが本番!

 さて、ベスト8からは1試合ずつ順番に行なわれる。プロジェクターのライヴモニターも分割画面ではないので悠々と観戦できるというわけだ。モニターのよく見える場所を陣取って、3人で座して観戦にのぞむ。ベスト8に残ったのは、スペシネフとアファームドBが2機ずつ、あとはテムジン、ライデン、サイファー、エンジェランである。こうなるとエンジェラン、スペシネフあたりが有利だろうと素人意見をかます。

関東vs関西

 準々決勝は、スペシネフ対アファームドBはスペシネフ、テムジン対ライデンはテムジン、スペシネフ対エンジェランはエンジェラン、サイファー対アファームドBはサイファーに軍配が上がる。この時点でライデン、アファームドBは全滅。惜しくもエンジェランに敗れたスペシネフ乗り(大会最年少)のありがたいセリフ「エンジェランはちょっと…」が印象的。  ベスト4が決定した時点で、関東の「ドルドレイ組」と、関西の「毒ガス団」との対決という図式が見事に浮かび上がる(最初からか…)。
 準決勝は、スペシネフ対エンジェランはエンジェラン、テムジン対サイファーはテムジンが勝利をおさめる。決勝はエンジェラン対テムジンに決まったというわけだ。この組合わせではエンジェラン有利と判断して差し支えないだろう。

 決勝の前に、準決勝で負けたスペシネフ対サイファーで第3位決定戦が行なわれる。これに勝利したのはサイファー。

テムジン対エンジェラン

 さて、奇しくも決勝戦は、関西地区の看板を背負わされてしまったエンジェランと、関東地区の看板を背負わされてしまったテムジンとの対戦となる。関西側の優勝防衛か、関東側の奪取か。テムジンの搭乗者は、前作の全国大会3位だった方。前大会で優勝を関西に持っていかれた関東勢の期待を、彼は一身に浴びているようだった。それに加えて、エンジェラン有利という下馬評のせいか、エンジェランが回避重視型のVRだからか、それとも大会会場が東京だったためか、どうもギャラリーはどちらかというとテムジン側の味方のようだった。エンジェランがリードしてもギャラリーの反応はイマイチだが、テムジン側の攻撃がヒットすると歓声があがる。エンジェラン側はアウェー戦をしているような気分だったのではないだろうか。
 結果は1ラウンド目はびしっと決まり、2ラウンド目はタイムアップのギリギリのシールド残量で、見事、テムジンが2−0優勝を遂げた。テムジン優勝、という予想外の結果に思わず感動。こういった大会では、どうしても全体的に回避中心の試合展開になってしまいがちだが、決勝戦だけでも観ることができてよかったと思う。残念ながら2位になってしまったエンジェラン乗りの最後のセリフは「1回戦で負けるよりも悔しい」だった。ごもっとも。

優勝はテムジン

 こうして、前作「電脳戦機バーチャロン」の全国大会「ファイナルミッション」より半年。「オラトリオタングラム」としては初の全国大会が、前大会3位だったテムジン乗りの優勝という形で幕を閉じた。巷ではそれほど強いと評価されていないバーチャロイドによる優勝(そしてその評価はこの優勝によって覆る類のものではないのだ)。この優勝は、それなりに意義のあるものだったように思える。ユーザーからバランスがどうのと常に言われ続けるメーカーとしては、ホッと胸を撫で下ろしたところ…なのかも知れない。

優勝商品

 なお、上位入賞者にはそれぞれ商品として、3位ペプシ3ヶ月分、2位ペプシ半年分、1位ペプシ1年分(とドデカいトロフィー)が贈られたようだ。あまり羨ましくない…。
 閉会式終了後には、何やらイベントが企画されていたようだったが、なかなか始まる気配をみせなかったので(用事もあったし、空腹だったし)、帰ることにする。この後、何か楽しいことをやったのなら残念だが、まあ仕方がない。

蛇足

 ところで、会場内にはプレイアブルのゲーム筐体が設置されており、オラタンだけでなく稼働前のゲームがフリープレイだったのだが、観戦そっちのけでプレイしていた人たちは、いったい、何をしに来たのだろうか??


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